金子正次。 金子正次

竜二 (映画)

金子正次

萩原健一「ララバイ」 「待ってろよ! 」 という言葉を口癖のようにいっていた俳優がいた。 金子正次、享年 33 歳。 この公開当日、金子正次は倒れた。 胃ガンであった。 そして、 11 月 6 日に亡くなった。 「ビートルズ世代のヤクザ映画」 …そんな書かれ方をしていたような気がする。 僕は特にヤクザ映画のファンではなかったのだが、 なんとなくこれは新しいタイプの映画なのではないかと思った。 無名の俳優が手弁当で 制作費を捻出してつくった自主映画というのもカッコいい。 これぞパンクだ!! 僕は機会があったら、ぜひ観てみようと思った。 1984年の春だった。 竜二という男のカッコ良さとカッコ悪さが 素直に表現されていた映画だった。 文芸座を出たあと、 僕は普段から持っていたサングラスをかけ、 竜二気取りで夜の池袋の街を歩いた。 レンタルビデオ屋さんを数軒回ったのだが、 残念なことにどこにも置かれてなかった。 でも観たい。 いますぐ観たい。 僕は欲望の鬼と化していた。 あとにも先にも、これほどまでに渇望した映画はない。 そんな僕に福音がもたされた。 中野の北口にあったビデオショップで売られていたのだ。 値段はたしか 1 万 3800 円ぐらいだったと思う。 この日、僕は財布のなかに 1 万 5000 円ぐらいあった。 しかし、お給料日まではまだまだ日があった。 「俺が通りに立っただけでファンがむらがってくるようなスターになってやる」 そう周囲に漏らしていたという。 そして「待ってろよ! 新人賞授与の際、泣きながら賛辞を贈っていた 大島渚監督の姿はいまも忘れられない。 金子正次はたった 1 本の映画でスターとなり、 そして伝説となった。 オープニングで、歌舞伎町にあるビルの階段から タバコをふかしつつ降りてくる竜二の姿を真似て、 僕もよくその階段を上ったり降りたりしたものだ。 その階段はたぶん、いまもあるはずである。 金子正次と生前親しく、 最期も看取った大スターが松田優作である。 あとで知ったのだが、 金子正次を世に出すために松田優作はかなり動いていたという。 しかし、ショービジネスの世界は、 たとえ大スター・松田優作の推薦があったとしても 無名の新人・金子正次に快く門戸を開くほど甘くなかったのであろう。 松田優作の努力は、なかなか実を結ばない日々が続いた。 そんな日々のなか、金子正次は親しい人間に 「松田優作はなんやかんやいっても、俺が世に出ていくことを恐れている」 というようなことを漏らしていたという。 金子正次の死から 6 年後の 1989 年。 国際的なスターへの道半ばでの死であった。 奇しくも 11 月 6 日。 金子正次が亡くなった日と同じ日であった。 2007.

次の

やくざ映画のニューウェイブ「竜二」とショーケンの歌う「ララバイ」

金子正次

金子正次。 『竜二』で知られる脚本家、さらには主演まで務める夭逝の作家は、病院のベッドで『ちょうちん』という遺作を書き上げる。 『竜二』『チ・ン・ピ・ラ』『ちょうちん』を以って金子3部作と呼ばれているが、ジム・ジャームッシュやレオス・カラックス3部作と比べても全く引けをとらない仕上がりとなっていて、日本が世界に誇る事が出来る作品だ。 その大トリを飾る『ちょうちん』。 僕はこの映画が一番好きだ。 前二作も必見の作品である事に間違いはないが『ちょうちん』は幻の作品となっている事が神秘性を高めている。 版権の関係なのか、近年その映像にお目にかかったことがない。 主演は陣内孝則と石田えり。 倉本聰脚本の『ライスカレー』というテレビドラマに抜擢され、しばらくしてこの映画の主役を張った。 このときの陣内の格好良さときたら30年経った今でも脳裏に焼き付いて離れない。 夜でもレイバンのウェイファーラーをかけてリーゼントパーマ。 派手な出で立ち。 いくらバブル時代とはいえ、目立たないはずがない。 キメ台詞はカタルシス満載。 「親や世間に逆らって、重ねた悪事もこれまでか。 一に窃盗、二に詐欺で、三度の喧嘩にパクられて、検事判事のいる前で、一度は強情張ったけど、所詮叶わぬ現行犯。 昼は厳しい監視の目、夜は冷たい鉄格子。 瞼閉じればありありとエプロン姿のかわいい娘 」 ここで鳴り響くジョン・ルーリーの実弟で元ラウンジ・リザーズ、エヴァン・ルーリー書き下ろしのイントロ。 アルゼンチンタンゴの哀愁が劇場に拡がる。 「いつまでもフラフラしてらんねぇだろう、ちょうちんみたいによぉ」 陣内演じる村田千秋という主人公自体が《ちょうちん》だったのだ。 これに憧れない男がいるのだろうか? ここではない何処か。 自分ではない誰かを模索する当時の自分の姿そのものではないか… 次の日、レイバンのウェイファーラーを買った。 追記、『ちょうちん』DVD化、切望します。 2017.

次の

ヤフオク!

金子正次

日本映画に詳しい方にお聞きします 金子正次の『竜二』を見たことはないのですが、『とんぼ』以降の長渕剛の演技にかなり影響を与えているのでしょうか? 小学生頃の私は『親子ゲーム』などの長渕剛の演技や歌が大好きだったのですが、『とんぼ』からのキャラの変わりよう?についていけなくなり以降、興味がなくなってしまいました。 『竜二』という伝説的な映画があるのは知ってましたが、とんぼ等の長渕キャラにかなりそっくりだとききました。 ようつべで見る限り確かに似てるかなと思いますが、本編をじっくり見比べた訳ではないので・・・。 両方見た方、当時の映画状況に詳しい方など識者の方のご意見をおきかせください。 よろしくお願いします。 いろんな方の主観でも良いので意見を伺いたいです。 「とんぼ」(以降)の芝居・キャラは「竜二」のまるパクりですよ。 もうモノマネのレベルです。 そして、本人は真似していることを隠しておらず、金子さんの書いた有名なセリフ(六尺足らずの五尺の痩せこけた体で刺せば監獄刺されば地獄・・)をそのままパクッた「泣いてチンピラ」という歌も作ってますし「とんぼ」の劇場版的な作品「オルゴール」では「竜二」で竜二の奥さんを演じた永島暎子さんを自分の奥さん役にキャスティングしてるほどです。 つまり、長渕さんなりのリスペクトだと思うんですよ、本人的には。 ただし、個人的にはやっぱりモノマネのレベルにしか見えませんが。 あれだけキャラが(芝居の上だけでなく、歌や実生活でも)変わる人って珍しいですよね 笑 しかもこれだけ人の影響受けやすくてキャラが変わっちゃうにもかかわらず、ずっとついて行ってるファンがいるのがまた不思議・・・ご質問者様のようについていけなくなる方が自然だと思うんですけどね 笑 長渕さんのモノマネをやるタレントさんはその時代ごとに黒ずくめで不精ひげにしたりインド風の衣装買ったりジーパン破いたりボディビルでマッチョにして金髪にしたり、大変そうですね~(笑).

次の